【介護】業務改善の手引き 具体的な考え方

具体的な業務改善方法

🤔「業務改善の手引きをどう活用すればいいの?」「成功例のようにうまくはいかないでしょ。」

そんな悩みを解決していきます。

2019年、厚生労働省から介護業界向けに発信した【業務改善の手引き】

検索しやすい【前編】の内容は分かりやすくイラストと箇条書きで表現しているため

具体的にどのようにすれば良いのか、分かりにくい部分があるかと思います。

厚労省のページへいくと、前編・中編・後編と総ページ数80以上で記載されています。

この時点で、まず手にして読むのにハードルが上がります…

また、業務改善の具体例は、成功例のみが書いてあり、失敗例がありません。

現場は、成功例のようにスムーズにいかないことが多々あるでしょう。

考え方について記載したので是非、ご覧になっていってください。

1.職場環境の整備

「出典:業務改善の手引き 厚生労働省」 より引用

職場環境に整備が必要な理由に関しては

何かを探している時間は何も生産していない時間だから

です。

図のイラストは例であり、実際は様々な環境整備が可能と考えられます。

その根本は、何かを探すというムダな時間を減らすことです

カルテ、入居者の排泄に使用する備品やケアのチェック表、パソコンのデータなど、探す時間が存在しているのであればそれを減らすように改善すれば良いのです。

カルテやチェック表であれば50音順に統一する。備品に関しても、ケアを行うタイミングでパッと見て分かるようにする等が考えられます。

図のイラストに関しては、箱の中に入れてしまうと、結局その中身が分かりにくく探す時間を増やす可能性があるため注意です。

重要なのは、綺麗にすることではなく、ムダな生産性のない時間を減らすことです。

2.業務の明確化と役割分担 (1)業務全体の流れの再構築

「出典:業務改善の手引き 厚生労働省」 より引用

作業分析を行うことは、PDCAサイクルにおける、チェック・評価の部分になります。

つまり、現状をちゃんと見ましょう

ということです。客観的評価なくして、改善は不可能です。

役割分担に関しては、業務のムダやムラになるだけでなく、職員のストレス要因になります。

職員の感じるストレスの要因として、役割が曖昧なことが挙げられます。

誰がどの仕事を担当しているのかを明らかにしないと、負担がバラつきます。

よって、業務効率化のみでなく、役割を適切に分担することが職員の精神衛生上も良いのです。

図のイラストに示されている、介護職員の専門能力、介護助手という部分の考え方に関しては、スペシャリスト(専門職)とマックジョブ(マニュアル通りに動く職種)という考え方によります。

スペシャリストがマックジョブの部分の業務を行いすぎると、その専門性を活かす機会が相対的に減少します。それは、介護における生産性の低下です。

専門性を必要としないマニュアル業務

例えば、お茶を汲む作業や洗い物等は介護専門職の専門性を発揮できる場面ではありません。

その仕事がマックジョブとして捉えられるのか?スペシャリストとして捉えられるのか?

しっかりと業務を分析し、ケアの質向上並びに生産性向上を図るべきです。

2.業務の明確化と役割分担 (2)テクノロジーの活用

「出典:業務改善の手引き 厚生労働省」 より引用

図のイラストに記載されているのは、センサーマットと監視カメラですが、監視カメラについてはプライバシーの侵害に関わる部分なので注意が必要です。

センサーがあることによる心理的負担の改善という面も重要ですが、実際は少ない人員で多くの利用者を介護するために活用していく流れが出てくるでしょう。それは、人員緩和における要の一つとして、テクノロジーの活用が挙げられているからです。

それを踏まえたセンサーの適切な活用法を考えていく必要が生まれてくると予測されます。

人員緩和に関しては下記参照

3.手順書の作成

「出典:業務改善の手引き 厚生労働省」 より引用

具体的に言えば

業務マニュアルを作成し活用しましょう

ということです。

口頭での申し送りは、短い内容であれば

言葉の使い方によっては印象に残りやすく効果を生む場面もあります。

しかし、業務内容を伝えるということに関しては、ある程度内容が長く、細かい内容が含まれることが多いです。

口頭のみで業務内容全体の申し送り行うと必ず、伝え忘れが生まれます。さらに、書面によって業務内容が統一されておらず、口頭でのみ業務内容が申し送られている場合、必ず

人によって業務やサービスに差が生まれます。

業務やサービスに差が生まれた結果、引き継ぎを行う際に

😓「人によって言っていることが違う!しかも、日によって違う!」

ということが起きます。何故なら、業務内容を統一していくのであれば「不変の情報」にしなければなりません。人は日によって考えていることがどんどん変わってきます。それは、「可変の生物」です。

男子3日会わざれば刮目して見よ

という諺があるように、人は考えることが変わっていくため、統一した内容を共有するには

やはり書面におこすなどして「不変の情報」にしなければなりません。

情報化なくして、共有はあり得ません。

そして、統一された内容の共有によって、サービスの質のバラつきを防ぐこともでき

申し送りの際の「人によって違う!」ことによるムダな時間を削減できます。

4.記録・報告様式の工夫

「出典:業務改善の手引き 厚生労働省」 より引用

これは分かりやすいかと思います。

ムダな転記を止めましょう

ということです。

同じことを何度も書く時間は、何も生産していません。

具体的な例を出すと

共有ノートに事故内容を記載して、カルテにも事故内容を記載する

というムダです。

この場合、共有ノートに「カルテ参照」と記載するのみで、2回同じ内容を書かなくて済みます。

このように、電子化しなくても効率化は図れます。

データ共有の利点としては、職場にいない状況でも情報が確認できるという点です。

さらに、この情報の共有という観点からすれば、ムダな会議の削減にも繋がります。

会議の要素が「情報の伝達」であれば、わざわざ人を集めて時間を縛る必要はありません。

共有SNSでも活用して、情報をpdfにでもして貼って見てもらえば良いのです。

また、症例情報が重要なのであれば、映像や画像共有も有効ですね。

5.情報共有の工夫

「出典:業務改善の手引き 厚生労働省」 より引用

実用例

404 Not Found

タイムリーな情報共有

重要なのは、

という観点です。

即時的というのであれば、インカムは非常に有効な手段ですが、導入にはコストや稼働時間、利用できる範囲の制限など、課題が残る部分があります。

インカムにこだわらずとも、例えばセンサーマットの反応した居室がすぐ分かるような持ち運び用の機を導入するなど、使用しやすい部分から改善を考えることはできます。

6.OJTの仕組みづくり

「出典:業務改善の手引き 厚生労働省」 より引用

OJT

人材育成の基本です。

現場にいる職員が、新人に対して行っている仕事を現場で教える。

という当たり前の内容です。

もし、OJTをしていないのであれば、教育をしていないと言っても過言でないのではないでしょうか。

OJTの仕組み化の必要性に関して

教育担当の職員の教え方にブレが生じ」

と図に記載されています。その理由としては、理念や教育の到達目標の共有ができていないことや

クリニカルラダーのような、教育到達目標の細分化を行っていないことによると考えられます。

https://www.nurse.or.jp/nursing/education/jissen/kaihatsu/

「出典:公共社団法人 日本看護協会」

この共有や細分化というてんに関しては、「3.手順書の作成」で説明した

「不変の情報」「可変の生物」の考え方によります。

人はどんどんと考えることが変わっていきます。統一した内容を共有し

ケアの質を保つ目的

であれば、「不変の情報」を共有しなければなりません。

また、「他の職員に対して教えること」を教育する

ということに関しては、基本的には中間管理職の教育という内容と捉えられます。

中間管理職の役割は、「管理」「監督」「指導」「育成」です。

つまり、「指導」と「育成」についての能力を要求される役職なのですが、恐らくそこの役割が担えていないだろうと見越しての「OJTの仕組み作り」という発信内容なのでしょうか。

しかし、とても教育に関しては非常に重要な項目なため、クリカルラダーやキャリアラダーといったモノを活用しながら進めるのが良いと思われます。

7.理念・行動指針の徹底

「出典:業務改善の手引き 厚生労働省」 より引用

会社における理念とは、会社は存在する理由」、「会社の目指す方向性」という会社の根本に関わる部分です。これを理解をしていない職員がいるのであれば

方向性を間違えている

可能性があります。

これは、良く登山に例えられます。

例えば、「富士山の頂上を到達を目指す」という理念(チームの存在理由であり、目指す方向性)を持つ登山チームがいたとします。

その場合、チーム全員が理念共有できていた場合

富士山の頂上に到達するためにはどうすれば良いか、共通の理解で考えることができます。

そして、「必要な時間」「必要な物品」などを適切に準備し、チーム全体に振り分けながら目標へ到達することができるでしょう。

しかし、チームの中に

😙「私は高尾山に登る!」

という人がいたとしましょう。

理念共有がされていない場合、まず共通の理解で話すことができません。

「必要な時間」や「必要な物品」の理解も変わります。その時、😙に富士山に登るのに必要な物品の負担をお願いしたらどうなるでしょうか?

😙「なんで、こんな荷物必要なの!?いらないでしょ!その荷物は持たない!」

という状況になり得るということです。

その場合、😙には富士山を登るチームを抜けてもらって

高尾山を登るチームに入ってもらうのが一番良いですが

会社は簡単にそれはできません。従業員の解雇は簡単には行えません。

つまり、😙を抱えながらチームを富士山登頂を目指さなければならないということです。

それを適切に修正していくのもまた、管理職の役割です。

理念共有の重要性は非常に高いです。

その会社の存在目的や方向性を知っていれば、求められる行動も自ずと見えてきます。

つまり、仕事の優先順位をつけられるようになります。

理念共有できずに事業を進めていくことは

この登山チームの例を見れば、非常に困難を伴うことが理解できるかと思います。

まとめ

業務改善の手引きの内容

いかがだったでしょうか?

考えてみれば、普遍的な内容ばかり書いてあるかと思います。

当たり前のことを当たり前にする

そのために業務改善の手引きは発信されているとも言えます。

そして、業務改善の手引きの重要なテーマは

教育と効率化

です。

2019年、ある地方の社会福祉協議会の研究総会に参加した私の目から見て

恐らく、教育をしっかりと行っている介護事業所は少ないのではないかと感じました。

下記参照

つまり

当たり前のことを当たり前にできる介護

それが、国から求められている介護の価値観であると言えます。

そして、ほとんどの介護事業所が教育を行っていないのであれば、教育環境を整えるだけで

他の事業所と差別化を図れるため、価値が高まります。それは、介護事業所の利益や存続にも影響するでしょう。

「参考:業務改善の手引き 厚生労働省」 

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679148.pdf

アイキャッチ画像元

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679148.pdf

コメント

タイトルとURLをコピーしました