申し送りと検索すると「廃止」というワードがサジェストに入ってきます。申し送りは廃止するべきものなのか?今回は、ここに着目して申し送りの要素を「口頭」と「ノート」に分けて解説しています。
結論としては、申し送りは必要です。しかし、その「やり方」の改善をする余地のある現場は多いのではないでしょうか。是非、記事を一読してみてください。
申し送りはノートと口頭で使い分けることが大切!
口頭の申し送りとノートの申し送りの特徴はそれぞれ違います。メリットとデメリットを把握した上で適切に使いこなすことで、時間を生み出せる可能性があります。つまり、業務改善の可能性がある仕事内容なのです。
以下にそれぞれのメリットとデメリットを3つにまとめました。
口頭申し送りのメリット・デメリット
口頭申し送りには、文章以外の情報を声のトーンや体を使って伝えることができるというメリットがあります。しかし、それに頼ってしまうとデメリットによって、かえって情報が不正確になってしまうことがあるため注意が必要です。
メリットとデメリットを理解した上で口頭とノートの配分を考えていくのが良いでしょう。
口頭申し送りのメリット
- 書面では伝わらない感情が伝わる
- ジェスチャーや擬音で伝わる内容がある
- 同時に数名伝えることができる
口頭で申し送りをする際には、声のトーンや身振り手振りを活かして情報を伝えることができます。それは、文章では伝わることのない生きた情報と言えるでしょう。
文章にする際には表現の選択が必要になりますが、口頭であればジェスチャーなどで直感的に他人に伝えることが可能です。
更に、同時に何名にも伝えることもメリットと言えるでしょう。
口頭申し送りのデメリット
- 記録に残らない情報がある
- 内容によって時間がかかる
- 誰かの時間を強制的に拘束することになる
口頭で申し送りをする場合、「言葉」のみでなくさまざまな情報が含まれます。声のトーンによって緊急性を表現したり、ジェスチャーで様子を表現することもあるでしょう。そういった内容は記録に残らないため、見返すことができません。
記録に残らない情報は、正確さを失います。人の記憶は曖昧であり、「エビングハウスの忘却曲線」によると、人は25分後には58%しか情報を覚えていられないと言う情報すらあります。(エビングハウスの忘却曲線の研究の内容は、「無意味な音節を人に記憶させる」というものですが…)
伝言ゲームをイメージすれば、口頭で人に伝わる情報がいかに不正確になるか、分かりやすいかと思います。
更に、伝える内容と相手によってどうしても時間がかかる場合があります。その際には、自分の時間のみならず相手の時間も強制的に縛ってしまうことがデメリットになるでしょう。
ノート申し送りのメリット・デメリット
文章で情報を残すことによって、発信した情報をしっかりと残すことができます。人の考え方は変わってゆくものであるため、「発信した人がそのことを忘れる」可能性もあるのです。それを防ぐことができるでしょう。
しかし、「文字」での情報だからこそのデメリットもあるため、それを理解した上で活用していくことが大切です。
ノート申し送りのメリット
- 正確に記録に残り、見返すことができる
- 各個人が好きな時間に情報を得ることができる
- 必要な情報だけを得ることができる
ノートに文章として情報を残すことで、情報が明確に表現されます。ジェスチャーや声のトーンといった曖昧な情報は排除され、誰かの「記憶違い」を防ぐことができるでしょう。
また、口頭の情報は話した次の瞬間には消えてしまいますが、ノートに文章に残すことで情報を何度も見返すことができます。
口頭で申し送りをする場合は、「相手の時間を拘束する」必要性が出てきます。しかし、ノートの場合は各個人が情報を好きな時間に得ることができます。
さらに、情報の取捨選択は読んでいる個人に委ねられるため、必要な情報だけを抜き出してインプットすることができます。これは、大きなメリットとなるでしょう。
ノート申し送りのデメリット
- 重要なポイントが伝わりにくい可能性がある
- 同時に何人も見ることができない
- 書く時間を要する
文章で人に情報を伝える際には、情報が主に「文字」だけになってしまいます、更に、情報の取捨選択は個人の判断で行えるため、重要な情報が適切に伝わらない可能性があるのです。
ノート記載の場合は、同時に何人も見ることができません(SNSなどを使えば解決できる問題ですが…)。よって、情報が伝達する際にかえって時間がかかることもあるでしょう。
ノート記載者は、口頭で伝えるより時間がかかる場合があります。記載者にとってはデメリットとなる可能性があります。
特徴をおさえて使いこなすことが大切
口頭とノートのメリットとデメリットを理解した上で、上手く活用することが業務改善になります。時には同時に使うことも大切になるでしょう。
人の記憶は、「五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)」をなるべく多く使うことで記憶に残りやすくなるとされています。
つまり、口頭と文章を同時に使うことで「視覚・聴覚」の二つの刺激を与えることができるため、記憶に残りやすくなるのです。
伝えたい情報は「どんな目的」を持った情報なのかをイメージして申し送りを使いこなすのが良いでしょう。
ムダな口頭申し送りは貴重な時間を失う行為
口頭申し送りのデメリットに「誰かの時間を強制的に拘束することになる」という要素があります。発信者のみでなく、申し送りを受ける人たちの時間を奪っている状況になるのです。
これは、業務効率化の妨げになる可能性があり、注意する必要があるでしょう。誰かの仕事を止めて、申し送りをする状況を作り出しているのですから。
「伝えたい情報」の「目的」を定めた上で、申し送りを適切に活用することが重要です。
適切な配分で、業務の効率化を!
まとめると
- 確実に伝えたい情報は「口頭+ノート」
- 同時に多人数に、言葉以外の要素を伝えたい情報は「口頭」
- 正確さが必要で、文字や数字だけで伝わる情報は「ノート」
といった感じになるでしょうか。
特に「体温」や「SpO2」などを口頭で多くの利用者の情報を申し送るのはやめましょう…なぜなら、その情報は正確さが重要で感情の要素が重要ではないからです。しかも数字の羅列は、「エビングハウスの忘却曲線」を参考にすれば記憶に残りにくいこと可能性が高いでしょう。
必要な情報を正確に必要な時に得たいのが「バイタルサイン」でしょう。(もちろん緊急性が高い場合は口頭で、緊急性の高い内容のみを伝える必要があります。)
ノートの全ての内容を読み上げるという行為によって「記憶に残らない内容で長時間他人を拘束する」ことになっていることを忘れないようにしましょう。
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