令和3年度から導入された科学的介護情報システム(LIFE)において、加算取得の中心となってくるであろう科学的介護推進体制加算について、情報がわかりにくく困っている方は少なくないのではないでしょうか。
今回は、科学的介護推進体制加算(Ⅰ)に特化して解説しています。加算の算定に関して悩んでいるのであれば一読してみてはいかがでしょう。
本記事は、すでにLIFEが導入されており、加算を取得したいという方に向けた記事になっています。
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)に必要な情報|LIFEに入力する事項
厚生労働省により、必要項目はピックアップされており、それを「科学的介護システム(LIFE)」に入力して活用することによって科学的介護推進体制加算の取得ができます。
以下に科学的介護推進体制加算に必要な項目を抽出し、記載します。
※常に必須な項目は赤アンダーライン:つまり必須
※確定取込時必須な項目は黄色アンダーライン:つまり必須
※確定取込時かつその他条件に応じて必須な項目は青アンダーライン:条件については厚生労働省の参照元を。参照元ページの外部インターフェース項目一覧(LIFE)[XLS形式:398KB]に詳細が記載されています。
- 事業所番号:介護保険事業者番号のこと。介護給付費請求に利用する識別番号である。分からなければWAM NETで検索すれば見ることができる。
- サービス種類コード:サービスコード及びサービス内容略称を規定したもの。介護給付費明細書及びサービス利用票等で記載する。リストがあるため、自サービスの番号を選択すれば良い。
- 保険者番号:利用者の介護保険の保険者番号6桁
- 被保険者番号:利用者の介護保険の被保険者番号10桁
- 外部システム管理番号:LIFE使用登録の際に通知される番号。厚生労働省より→「科学的介護推進様式として1帳票に表示する単位として送信する。事業所内で科学的介護推進の様式情報として一意に管理する番号とする。」
- 施設/通所・居宅区分:施設または通所・居宅を表す区分。「1.施設 2.通所・居宅」
- 評価日:評価した日を記載
- 記入者職員職種:職種はリストから選択できる。
- 障害高齢者の日常生活自立度:リストから選択できる。評価については障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)を参照
- 認知症高齢者の日常生活自立度:リストから選択できる。評価については認知症高齢者の日常生活自立度を参照
- ADL評価日:評価した日を記載
- 食事
- 椅子とベッド間の以上
- 整容
- トイレ動作
- 入浴
- 平地歩行
- 階段昇降
- 更衣
- 排便コントロール
- 排尿コントロール
※ADL評価は、Barthel Indexが評価基準になっている。全て「全介助・一部介助・自立」から選択する。厚生労働省からBarthel Indexの解説動画が公開されている。→動画
- 中止日:サービス提供を中止した日を記入。
- 中止理由:1〜7の選択肢から選択すれば良い。
- 栄養評価日:評価した日を記入
- 身長:センチメートル(cm)単位で入力
- 体重:キログラム(kg)単位で入力。小数点第一位まで入力する。
- 低栄養状態のリスクレベル:「1.低 2.中 3.高」から選択
- 経腸栄養法:「0.無し 1.有り」から選択
- 静脈栄養法:「0.無し 1.有り」から選択
- 経口摂取:「0.無し 1.一部 2.完全」から選択
- 嚥下調整食品の必要性:「0.無し 1.有り」から選択
- 食事の形態(コード):0〜50のコードの選択肢から選ぶ
- とろみ:「0.無し 1.薄い 2.中間 3.濃い」から選択
- 食事摂取量(全体):%で入力する
- 主食の摂取量:%で入力する
- 副食の摂取量:%で入力する
- 必要栄養量_エネルギー:キロカロリー(kc)単位で入力
- 必要栄養量_たんぱく質:グラム(g)単位で入力
- 提供栄養量_エネルギー:キロカロリー(kc)単位で入力
- 提供栄養量_たんぱく質:グラム(g)単位で入力
- 血清アルブミン値_有無:「0.無し 1.有り」から選択
- 血清アルブミン値:(g/dl)単位で入力。小数点第一位まで。
- 歯・入れ歯が汚れている:「0.該当なし 1.該当有り」から選択
- 歯が少ないのに入れ歯を使っていない:「0.該当無し 1.該当有り」から選択
- むせやすい:「0.該当無し 1.該当有り」から選択
- 硬いものを避け柔らかいものばかり食べる:「0.該当無し 1.該当有り」から選択
- 入れ歯を使っている:「0.該当無し 1.該当有り」から選択
- 誤嚥性肺炎の発症・既往の評価日:評価日を記入する
- 誤嚥性肺炎の発症・既往:「0.無し 1.有り」から選択
- 発症日:発症した日付を記入する
- 認知症の診断の有無:「0.無し 1.有り」から選択
- 診断日:診断日を記入 ※診断日が不明な場合、70歳頃あるいは80歳頃のように大体の発症年について、対応する「年」を入力。また、「月」が分からない場合は6月と入力。「日」が分からない場合は15日と入力して良い。 参考:全国老人福祉施設協議会
- アルツハイマー病:「0.該当無し 1.該当有り」から選択
- 血管性認知症:「0.該当無し 1.該当有り」から選択
- レビー小体病:「0.該当無し 1.該当有り」から選択
- その他:「0.該当無し 1.該当有り」から選択
- 日常的に物事に関心を示さない:「0.全くない〜4.常にある」から選択
- 特別な事情がないのに夜中起き出す:「0.全くない〜4.常にある」から選択
- 特別な根拠もないのに人に言いがかりをつける:「0.全くない〜4.常にある」から選択
- やたらに歩きまわる:「0.全くない〜4.常にある」から選択
- 同じ動作をいつまでも繰り返す:「0.全くない〜4.常にある」から選択
- 意思疎通:「0.反応がない〜2.自分から挨拶する、話しかける」から選択
- 事業所番号:基本情報と同様
- サービス種類コード:基本情報と同様
- 保険者番号:基本情報と同様
- 被保険者番号:基本情報と同様
- 外部システム管理番号:基本情報と同様
- 外部システム管理明細番号:基本情報と同様
- 病名(コード):コードの選択肢から選択
- 発症年月日:発症日を入力 ※不明な場合、70歳頃あるいは80歳頃のように大体の発症年について、対応する「年」を入力。また、「月」が分からない場合は6月と入力。「日」が分からない場合は15日と入力して良い。 参考:https://life.mhlw.go.jp/【LIFE】FAQ.pdf
入力するべき項目は多いですが、とても難しい内容ではありません。ただ、内容によっては専門職の力が必要になるため、協力を仰ぐ必要があります。
LIFEに入力する者は管理者等に限定されるかもしれませんが、これだけの必須情報を一人で集めるのは大変です。
現場の職員に項目に関する情報を記載して頂いて、その情報を管理者等がLIFEに入力するといった形が良いのではないかと感じました。
科学的介護推進体制加算に使用する書式
実際に情報を入力するのは「LIFE」のwebサイト内になるため、書式は必要ありません。登録項目をイメージしやすくするための書式について厚生労働省から情報が発信されています。
以下の様式を使用して、LIFE入力者と現場職員との連携を図ると良さそうです。
科学的介護推進に関する評価(通所・居住サービス)


「引用:厚生労働省 令和3年度介護報酬改定について 別紙様式1【科学的介護推進に関する評価(通所・居住サービス)】」
科学的介護推進に関する評価(施設サービス)


「引用:厚生労働省 令和3年度介護報酬改定について 別紙様式2【科学的介護推進に関する評価(施設サービス)】」
科学的介護推進体制加算の単位数|毎月算定することができる
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)は、算定できる事業所であれば40単位を利用者一人に対して毎月算定することが可能です。
仮に3ヶ月に一度入力が必要とされている加算であれば、中間の2ヶ月間は入力がなくても3ヶ月後にデータ入力があれば、当該3ヶ月間は加算を算定することが可能ということになります。ただし、その中間の2ヶ月間は、入力がないとしてもそれ以外の要件は満たしていないといけないことになります。
「引用:全国老人福祉協議会 LIFEがよくわかるQ&A」
情報の提出に関しては定められており、時期に関しては以下のようになっています。
- 既存の利用者については、加算の算定を始める月の翌月10日まで
- 新規の利用者については、サービスを始めた月の翌月10日まで
- 2回目以降の情報提供は、少なくとも6ヶ月ごとに翌月10日まで
- サービスを終了する利用者について、その翌月10日まで
※情報提供すべき月にできない時は、直ちに届け出が必要。この場合、利用者全員について加算を算定できない。
※厚労省は通知で、「PDCAサイクルにより、質の高いサービスを実施する体制を構築するとともに、その更なる向上に努めることが重要」と指摘。LIFEへの情報提供だけでは加算は取得できない、と記載している。
「引用:介護のニュースサイト JOINT 【まとめ】介護報酬の”LIFE加算”、これまでの通知の内容はこちら」
LIFEに情報を入力すれば、加算が自動的に算定される?|答えはNO
加算を算定するのであれば、一般的に国民健康保険団体連合の介護報酬の請求システム上で加算を算定することについてチェックを入れる必要があります。
加算の要件に関しては、厚生労働省から通知されます。また、Q&Aに関しても随時更新されていますが、データを入力したことによって自動的に加算が取得できるというものではないため、注意しましょう。
最後に
記事は作成時点の資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただくようお願いします。また、必要に応じて自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願いします。
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