そもそも、介護士がピアスを身につけることについて、日本の法律には直接的な規制を設けている条文はありません。
しかし、各介護施設や医療機関では、衛生管理や安全性、利用者への配慮から、従業員の服装やアクセサリーに関する内部規則を設けている場合が多いというのが実情です。
内部規制により、ピアスやその他の装飾品の着用が制限されることがあります。従って、ピアスの着用に関する規制は、法的なものではなく、職場の規則やガイドラインに基づくものといえるでしょう。
介護現場でピアスは許されるべきか?職員と利用者の声を聞く
介護施設でのピアスの許容について、職員と利用者の意見はさまざま…。「ピアスをすることで自分らしさを表現できるし、利用者との会話のきっかけにもなる」という職員もいれば、「利用者の安全を考えると、身につけるものは最小限にすべき」と考える職員もいます。
一方、利用者からは「職員のピアスは気にならない。むしろその人らしさが感じられて良い」と前向きな声もあれば、「不潔に感じることがある」との意見もあります。
さらに意見を深掘りしていくと…「キレイで身なりを美しくすることは素晴らしい」という意見もありますし「派手で調子に乗っている」と真逆の意見を持つこともあり得ます。
職員の意見も、利用者の意見もバラバラ。良いとも悪いともとれる意見が散見されますね。
当たり前のことですが、人によって意見は異なり、良いと悪いも決められないのが現実でしょう。
介護と自己表現:ピアスをめぐる議論
介護現場におけるピアスの着用は、自己表現とプロフェッショナリズムの間で議論の的になりがちです。
一部の職員は、ピアスを含む個人的な装飾品が自分らしさを表現する手段として重要であると感じています。一方で、介護施設は安全と衛生を最優先に考える場所であるため、そのような個人的な装飾が利用者に悪影響を与える可能性があると心配し、制限したいという声もあります。
このあたり「自己表現」vs「介護現場の実情」といったところでしょうか。
今となっては、介護施設は多種多様であり、サ高住や有料老人ホームなど、必ずしも介護サービス時にピアスを付けていることによる危険を感じないケースは考えられます。
状況やサービス内容によって、ピアスを付けられるタイミングがあることは間違いないでしょう。
リアルな介護現場で身の危険を感じること
さてさて、それでは何故、ピアスの装着を制限する職場が多いのでしょうか?
それは「介護現場で身の危険を感じること」が生じるタイミングが突発的かつ何度も訪れるからです。(ピアスはケガを助長してしまう)
たとえば、利用者が穏やかなグループホームに介護士として勤めていたとしましょう。認知症を有している方しか入れないグループホームですが、軽い認知症の方しかおらず、落ち着いている環境が保たれるケースもあります。
ただし、その環境が急激に変わる可能性があるのが介護現場というものです。
たとえば…
- 認知症の進行によるBPSDの発症
- 利用者の入れ替わり
- 職員の入れ替わりによる人間関係の変化
など、昨日と打って変わって状況が変わってしまうことは往々にしてあり得るのです。
昨日は大丈夫だったのに、今日はBPSDによって、利用者が興奮し、服やピアスを引っ張ってしまう。なんてことが考えられます。
つまり、ピアスを付けられるタイミングは日々変わってしまうので、管理者がタイミングを管理するのが難しい…。
かといってピアスの装着を個人の判断に任せると、事故が起こる可能性がある…。
ということで、ピアスの装着を禁止してしまった方が管理者が管理する範囲を少なくして、事故も減らせるわけですから、そういったルールを敷くのも自然なのですね。
ピアスを付けて介護の仕事をしたい!ときに考えること
介護現場の急激に変化しやすい環境を考えると、直接介護サービスを提供する仕事に就く場合「ピアスOK」な環境は少ないことが予想されます。
直接介護サービスをする仕事に就くとき、ピアスの装着を職場に求めるのは酷です…。
なので、自分の仕事をちゃんと選ぶことが大切になります。直接介護をしない仕事に就く(ケアマネなどの間接的に支援を行う仕事とか)など、自分の仕事でコントロールすることを考えるのが良いのではないでしょうか。
急激に環境や人が変わってしまうことがある介護現場は、なんだかんだ危険なので、怖いですからね。
ただし!身の危険にならないマニキュア等であれば、許容されても良いのでは?と思いますが。
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