😕「介護の仕事でテレワークとかないし、働き方改革とか関係ないよね」
と考えていてはいけません!
日本は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化などの状況に直面しています。投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。(厚労省より)
働き方改革は、働く人たちの個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指していくための改革。
とされています。
これは、日本全体の問題になります。
もちろん、介護業界もその一部に含まれます。つまり、労働生産性の向上や従業員満足度の向上などを意識し、介護業界も働き方改革をしていかなければなりません。
まずは、働き方改革実行計画そのものについて、介護業界の視点から理解していきましょう。
そして、政府からのトップダウン政策に頼るのではなく、介護業界で働く人達から改善を図っていく。つまり、改革というより、革命を起こしていき、明るい未来を作っていきましょう!
働き方改革の実行計画の目的
【目的1】
企業の生産性を高めることで、労働力が減少する時代においても
企業が必要な生産を維持できる状況を生み出すこと
【目的2】
万人が働きやすい環境を作ることで働くことのできる人の数を増やし
それにより世の中全体の労働力不足を緩和する事
超少子高齢化社会の到来によって、労働力人口は減少しています。その結果、人手不足が原因で経営が悪化したり、廃業を選択する企業が多数存在しています。
労働力人口の減少が日本経済の維持発展に悪影響を及ぼすことは確実です。
この労働力人口減少による悪影響を踏まえて、政府は【目的1】と【目的2】を打ち出しました。
働き方改革実行計画で挙げられた課題
目的を阻害する要因として、政府は3つの課題を指摘しています。
【課題1】
正規雇用者と非正規雇用者との間で不合理な処遇格差が存在することが、非正規雇用者の労働意欲を低下させていること。
【課題2】
長時間労働を前提とした働き方が定着していることが仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化に歯止めがかからない。子育て中の人の労働参加を難しくする原因となっていること。
【課題3】
転職することが不利になる労働市場や雇用慣行が存在することが個人のキャリア形成を阻む要因となり、日本の生産性が低い原因となっていること。
【課題1】に対しては、同一労働同一賃金
【課題2】に対しては、年5日有給休暇の義務化
【課題3】に対しては、「年齢にかかわりない転職・再就職者の受入れ促進のための指針」の策定
と分かりやすく、政府側の動きは見られています。
働き方改革事項計画の9項目
課題解決のために、政府は働き方改革事項計画の9項目を提唱しています。
- 非正規雇用の処遇改善
- 賃金引き上げと労働生産性向上
- 長時間労働の是正
- 柔軟な働き方がしやすい環境整備
- 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
- 外国人材の受け入れ
- 女性・若者が活躍しやすい環境整備
- 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
- 高齢者の就業促進
働き方改革がメディアで取り上げられた時は3の長時間労働の是正にのみ着目され、働き方改革の本質を報道することはほとんどありませんでした。
3のみでなく、9項目全てを見てみると人口減少に伴う経済縮小への対策が働き方改革の本質であると分かります。
日本が直面している少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少と生活スタイルの多様化に対し、労働力を確保し、労働生産性の向上を図る政策、これが働き方改革です。
9項目全て重要ですが、介護業界の働き方革命において特に重要なのは2、3、4と考えます。
2.賃金引き上げと労働生産性向上
政府としては
企業に対する賃上げの働きかけと賃上げしやすい環境の整備に対する取り組みを行います。
企業に対する賃上げの働きかけに関しては、毎年年率3%程度の最低賃金の引き上げを行い、最低賃金を引き上げるために生産性向上への投資を行なった中小企業を対象とした助成金制度の拡充等が行われます。
最低賃金(時給)は2020年時点で、全国平均902円です。地域差はあるとしても翌年は約929円になるという計算ですね。
賃上げしやすい環境の整備に関しては、企業の生産性向上や人事制度整備に対する助成の拡充、下請け取引の適正化に関する法律の施行と監視体制の強化が行われます。
ここで考えてみます。
政府の賃上げや環境整備の取り組みが施されたら、介護従事者が働く現場が変わるのでしょうか?
関わってくるのは最低賃金の部分のみで、ほとんど変わらないでしょう。
給料の上昇に関しては、年功序列制の強い日本社会ではそう簡単に変革できるものではありませんが、生産性の向上に関しては自分達で行うしかない
ということは間違いありません。
政府は助成の拡充を行うのみです。生産性を実際に向上するのは働いている人たち自身なのです。
長時間労働の是正
時間外労働に関しては、月45時間まで、年360時間までの運用を定着させることを政府は目指しています。
そのために
- 法改正による時間外労働の上限規制の導入
- 勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備
- 健康で働きやすい職場環境整備
の3つの政策を打ち出しています。
その実際は
1.法改正による時間外労働の上限規制の導入
- 年間720時間以内までの時間外労働は可能
- 単月で100時間未満までの時間外労働は可能
- 2〜6ヶ月の平均時間外労働が80時間までは可能
2.勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備
前日の終業時間と翌日の始業時間との間に極力長い休息を確保できるように
努力する義務
3.健康で働きやすい職場環境整備
- パワーハラスメントの防止に関する法律の施行
- 産業医がいる場合、従業員の健康情報を産業医との間で共有する義務
という内容です。
まず、時間外労働に関しては、かなり多い時間外労働を強いられている現場かつ勤務時間を適切に管理している事業所であれば関係ありますが、そのような事業所は多くはないのではないでしょうか。(勤務時間を適切に管理していない所は多いかもしれませんが…)
勤務間インターバル制度に関しては努力義務です。努力義務なので、事業所は別にインターバルを取るように勤務形態を変更しなくても良いのです。
健康で働きやすい職場環境整備については、パワハラの抑止力にはなるかもしれませんが介護現場のパワハラが無くなるわけではありません。産業医と連携したら、職員が健康になるわけでもありません。
つまり、長時間労働の是正を実際にするのは働いている人たち自身なのです。
柔軟な働き方がしやすい環境整備
企業内での労働生産性を高め、副業や兼業を容認していく姿勢を政府はとっています。
その社会の実現のために
- テレワーク導入
- 副業や兼業の導入支援
の2つの支援をしてく方針です。
具体的には
- ガイドラインの策定
- テレワーク導入に関する補助や助成制度の拡充
- セキュリティに関する専門家の育成と企業への派遣
- モデル就業規則の改定
- 労働時間管理ルールの改定検討
を行なっていきます。
これらの政策を行うと、介護現場は変わるのでしょうか?
テレワーク導入の考え方や副業に関しては
やはり、実際に変革していくのは働いている人たち自身なのです。
参考

まとめ
これからの日本を考えると、労働力人口・労働力率の減少によって国の経済力は低下していくことは目に見えています。経済力を保つためには、一人ひとりの生産性を向上させていく必要があります。よって、業務を効率化し、副業を行い、一人が生み出す価値を高めていこうという政策を行なっているのです。
そして、今回働き方改革の内容を確認して、政府の行うことを理解した上で
今、働いている環境を変えることができるのは政府ではなく
働いている人自身であると間違いなく言えるでしょう。
介護従事者は
変化を恐れず、自分達でできることを考え、行動を起こすしかないのです!
【業務改善の手引き】を参考にし、業務改善に取り組む必要があります。
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