令和5年度末で経過措置を終了する介護報酬の決定事項について、令和5年10月4日に厚生労働省老健局から「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」が決定されました。
参考:令和5年度末で経過措置期間を終了する令和3年度介護報酬改定における改定事項について(厚生労働省老健局)
ここで思う訳です。🤔「結局、何をすれば良いの?」と・・・。
本記事では「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」に着目して、特養(特別養護老人ホーム・介護老人福祉施設)において、実際に何をすれば良いのか?を解説します。
今回の改訂事項は「口腔衛生管理体制加算」が「基本サービス」に入ってしまうという変更になるので、特養での対応は必須になりますので、注意してください。
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「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」の前提条件
ここで、前提条件をすべて解説します。まずは情報を確認しましょう。
概要
令和3年後介護報酬改定について(老健局老人保健課)において、概要が以下のように示されました。
施設系サービスにおいて口腔衛生管理体制を確保するよう促すとともに、状態に応じた丁寧な口腔衛生管理を更に充実させるため、口腔衛生管理体制加算を廃止し、同加算の算定要件の取組を一定緩和した上で、3年の経過措置期間を設け、 基本サービスとして、口腔衛生の管理体制を整備し、入所者ごとの状態に応じた口腔衛生の管理を行うことを求める。【省令 改正、告示改正】
令和3年後介護報酬改定について(老健局老人保健課)
ちなみに上記のサイトは非常に見にくいので以下のページを参考にすると良いです。
施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化(全国老人保健施設協会)
上記における文章の重要な点を以下にまとめます。
- 口腔衛生管理体制加算を廃止
- 同加算の算定要件の取組を一定緩和した上で
- 基本サービスとして口腔衛生の管理体制を整備
これらから捉えられるのは、つまり「もともとの口腔衛生管理加算を、ちょっと条件緩和して基本報酬に入れちゃうよ」ということです!(しんどいです😅)
3年の経過措置を設け・・・。の部分は、当然ながら令和5年度末までの期間になるので、令和6年度から対応しなければなりません。
単位数
令和5年度末まで | 令和6年以降 | |
口腔衛生管理体制加算 | 30単位/月 | 廃止 |
口腔衛生管理加算 | 90単位/月 | 口腔衛生管理加算(I)90単位/月(現行の口腔衛生管理加算と同じ) |
口腔衛生管理加算(II)110単位/月(新設) |
重要なのは「口腔衛生管理体制加算」が廃止されてしまった(基本サービスになってしまった)ということです。
基準・算定要件
ここでは口腔衛生管理体制加算が廃止され、基本サービスになった。そして「運営基準(省令)」に組み込まれた重要部分だけ抜粋します。
<運営基準(省令)>(※3年の経過措置期間を設ける『令和5年度末まで』) | 「入所者の口腔の健康の保持を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、口腔衛生の管理体制を整備し、各入所者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行わなければならない」ことを規定。 ※ 「計画的に」とは、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対する口腔衛生に係る技術的 助言及び指導を年2回以上実施することとする。 |
運営基準になったため、上記の内容を基本サービスとして行わなければならなくなりました。では「実際に何をすれば良いのか?」について、以下で解説します。
介護報酬改定事項「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」の内容を把握する
令和5年度末で経過措置期間を終了する令和3年度介護報酬改定における改定事項についてでは、運営基準になる部分について以下のように内容が記載されています。
口腔衛生の管理体制を整備し、各入所者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行うこと。なお、「計画的に」とは、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対する口腔衛生の管理に係る技術的助言及び指導を年2回以上実施することとする。
令和5年度末で経過措置期間を終了する令和3年度介護報酬改定における改定事項について
分かりにくいので分解して考えてみましょう。重要な点は以下になります。
- 各入所者の状態に応じた
- 口腔衛生の管理を計画的に行うこと
- 歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員に対する
- 口腔衛生の管理に係る技術助言及び指導を年2回以上実施すること
上記の内容を紐解くと、以下の対応をしなければならなくなると考えられるでしょう。
- 各入所者(個別)に計画する必要がある
- 口腔衛生管理を計画的に行っていると示す必要がある(計画書などが必要)
- 歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員に対する指導を行っているという事実を示す必要がある(指導の記録を残す)
- 口腔衛生の管理に係る技術助言及び指導を年2回以上実施すること(年2回は計画書が必要)
それでは、以下に新たな運営基準となった「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」において、具体的にするべき対策を示します。
令和5年度末以降に「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」においてするべきこと
上記で紐解いた内容について解説します。
各入所者に計画する必要がある & 口腔衛生管理を計画的に行っていると示す必要がある
😅「まさか、個別に計画書を作らなきゃいけないの?」と思うかもしれませんが、実は「施設サービス計画に記載できる」とされています。つまり、ケアプランに記載することで「各入所者に計画する必要がある」という条件を満たすことができるのです。
その根拠は以下の文章になります。
17 口腔衛生の管理(第4 運営に関する基準) 【新設】解釈通知(老企第44号)
基準省令第17条の3は、介護老人保健施設の入所者に対する口腔衛生の管理について、 令和3年度より 口腔衛生管理体制加算を廃止し、基本サービスとして行うことを踏まえ、入所者の口腔の健康状態に応じて、 以下の手順により計画的に行うべきことを定めたものである。
(1) 当該施設において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該施設の介護職員 に対する口腔衛生の管理に係る技術的助言及び指導を年2回以上行うこと。
(2) (1)の技術的助言及び指導に基づき、以下の事項を記載した、入所者の口腔衛生の管理体制に 係る計画を作成するとともに、必要に応じて、定期的に当該計画を見直すこと。なお、口腔衛生の管理体制に係る計画に相当する内容を施設サービス計画の中に記載する場合はその記載をもって口腔衛生の管理体制に係る計画の作成に代えることができるものとすること。
イ 助言を行った歯科医師
施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化(全国老人保健施設協会)
ロ 歯科医師からの助言の要点
ハ 具体的方策
ニ 当該施設における実施目標
ホ 留意事項・特記事項
上記から、ケアプランに口腔衛生管理の記載をすることによって、口腔衛生の管理体制に係る計画の作成に代えることができるということになります。なので、全ての入居者のプランに口腔衛生管理の内容を組み込めば、2つの条件が達成されます。
- 各入所者(個別)に計画する必要がある
- 口腔衛生管理を計画的に行っていると示す必要がある(計画書などが必要)
歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員に対する指導を行っているという事実を示す必要がある & 口腔衛生の管理に係る技術助言及び指導を年2回以上実施すること
残りは以下の2つの条件を達成する必要があります。
- 歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員に対する指導を行っているという事実を示す必要がある(指導の記録を残す)
- 口腔衛生の管理に係る技術助言及び指導を年2回以上実施すること(年2回は計画書と記録が必要)
上記の2つを達成するために、以下の用紙を使って計画書を作成するよう、厚生労働省から様式が出されています。
この様式の書面を年2回、発行することで目標は達成できると考えられます。特養の嘱託の歯科医の先生と歯科衛生士さんの指導内容について、当人らに確認しながら計画書を作成しましょう。
まとめ(これをやればOK)
つまり「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」に関して何を行えば良いのかと言いますと以下のとおりになると考えられます。(間違っていたら、コメントで教えてください・・・)
- すべての入居者のケアプランに口腔衛生管理の目標を入れる
- 口腔衛生管理体制についての計画の書面を年2回発行する
上記を行うことによって「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」の改訂事項。口腔衛生管理体制加算が廃止され、基本サービスになった。そして「運営基準(省令)」に組み込まれた部分の対応が完了すると考えて良いのではないでしょうか。
(一応、皆さんの方でも厚生労働省の通知を確認してみてください。また、分かったことがあればコメントで教えてください!)
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