2019年に厚生労働省から発信された「業務改善の手引き」は、主に7つの視点から介護現場を改善していきましょうという内容のモノです。
業務改善の手引きの7つの視点をいかに記載します。
分かりやすく示されており、進め方によっては簡単に行えそうな項目に見えます。しかし、職場全体で共有をしていくというのは案外難しいものです。
今回の記事は、私がOJTの仕組み作りに取り組んだ際の失敗を元にその理由を解説していきます。
学ぶことでどうなる?
結論は「学ぶことでどうなるのか?何を得られるのか?」というイメージが明確でない環境にあると感じました。
つまり
学んだら、何のメリットがあるの?
という疑問に答えを持たない限り、学ぶ環境は作れないのではないでしょうか。その疑問の答えは一つであるとは限りません。
私の失敗談
私は、教育の環境が無い職場を問題視しました。そのため、特にOJTの仕組み作りに力を入れて取り組みました。まずは職場環境を確認し、OJTをするにも、教育環境が無いために知識をしっかりと現場に活かせている状況ではなかったため、知識の土台作りのため、Off-JTから行おうと考えました。
そして、教育に力を入れるために以下のような内容を主催して強制的に職員が参加する環境を作りました。
- 勉強会
- 症例検討会
結果としては、大失敗でした。職員のモチベーションを下げ、「もうやりたくない。」と思わせてしまうまでに至りました。
私の以下のような価値観
- 学ぶことは楽しい
- より良い知識がより良いサービスを生む
- 良いサービスを行うと、トラブルが減り、結果的に業務もスムーズに進む
- 良いサービスを行うことによって、見込み客も増え、安定した収入も得られやすい
このような価値観を押し付けてしまった結果、同意を得られなかったのであろうと感じています。
価値観の統一はできない
人によっては、「専門性を高めるために学ぶ」ということに価値を感じるでしょう。また、人によっては「より良いサービスを提供して利用者さんに喜んでもらう」ということに価値を感じるでしょう。もしくは、「資格手当が入って、お金が稼げる」ということに価値を感じる人もいるかと思います。
モチベーションは、人によって様々です。その価値観を統一することは非常に難しいのではないでしょうか。それは、人が何に価値を感じるかというのは、その人の大切なことの基準だからです。
- 食事に高い価値を感じる人
- 自由時間に高い価値を感じる人
- 服に高い価値を感じる人
- お金に高い価値を感じる人
- 友人との時間に高い価値を感じる人
他にも、様々な価値観が人によってあるでしょう。その優先順位は異なって当然だと感じます。
私は、服を買いたいから食費を削っても良いって考えるタイプなんだよね。
俺ならそれは無理だなぁ。どっちかていうと服より美味しい物食べたい!
このような会話は日常的にされているのではないでしょうか?この価値観を統一しましょうというのは、現実的では無いのではないでしょうか。
理念の共有は確かに大切…
企業理念の共有は確かに大事です。「業務改善の手引き」の中にも含まれています。会社に雇われて働く以上は、会社の存在意義をしっかりと意識して働くことは会社員としてあるべき姿でしょう。
しかし、理念浸透のできている企業はそもそも多くはありません。HRproの調査では、理念浸透のしっかりできている企業数は全体の40%程度とされています。
厚生労働省の調査でも、働く目的として一番多い割合は「お金を得るため」という回答が一番多いのです。
2019年調査 働く目的は何か?
「お金を得るために働く」56.4%
「社会の一員として、務めを果たすために働く」14.5%
「自分の才能や能力を発揮するために働く」7.9%
「生きがいをみつけるために働く」17.0%
詳しくは↓
厚生労働省のデータからも、「自らの能力を高め発揮していきたい」という考えで労働する方の割合は、あまり多いと言えないのかもしれません。しかし、そういった方も含まれつつ多様な価値観を持った方が働いている環境にあるのが一般的なのではないでしょうか。
それぞれの価値観、厚生労働省のデータを参考にすると
- お金
- 会社員としての務め
- 能力の発揮
- 生きがい
もちろん他の様々な価値観を持った方々がいらっしゃるでしょうが、少なくとも上記に対する欲求を満たすような環境を作り上げることが重要なのかもしれません。
まとめ
それぞれ職員の価値観を知り、それを満たすような環境を作り上げることが大切だと感じます。例えば、お金であったり、やりがいであったりといった幅広い価値観への対応が必要になるのかもしれません。
利用者・お客さんであろうと、職員であろうと、求めている価値に対してアプローチをするという考え方が重要であると学びました。
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