介護の仕事をしているのなら【組織図】を理解しよう

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組織図を理解して仕事をしていますか?もし、あなたが理解せずに仕事をしているのだとしたら、仕事の成果を適切にあげることは難しいでしょう。

専門性を追求するのみでなく、一会社員であることを理解して仕事をすることで、利用者さんにとって、組織や地域にとって素晴らしい成果を生むことにつながります。

本記事では、フレデリック・ラルー氏の著書『Reinventing Organizations』に基づいて組織を5つの段階(レッド、アンバー、オレンジ、グリーン、ティール)に分類のうち、ティール組織とオレンジ組織について解説します。

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組織図の基本とは?

そもそも組織図とは何を指しているのか? について以下に解説します。

組織図の定義と目的

組織図とは、企業や組織の構造を視覚的に表現した図のことです。各部門や部署、そしてそれぞれの役割や関係性を示すことで、組織内の業務フローや指揮系統を明確にします。

これにより、社員一人ひとりが自分の位置や役割を理解しやすくなり、円滑なコミュニケーションと効率的な業務運営が期待できます。

介護現場における組織図の重要性

介護現場では、多くの職種が連携して業務を行います。そのため、組織図を活用して各職員の役割や責任範囲を明確にすることが非常に重要です。

組織図があることで、新しい職員が入った際のオリエンテーションがスムーズになり、既存の職員との連携も強化されます。また、組織図を基にして業務の効率化や改善点の発見も容易になります。

ティール組織とは?

フレデリック・ラルー氏の『Reinventing Organizations』の概要

フレデリック・ラルー氏の著書『Reinventing Organizations』は、組織の進化について解説した本です。この中でラルー氏は、組織を5つの段階(レッド、アンバー、オレンジ、グリーン、ティール)に分類し、それぞれの特徴を説明しています。ティール組織は最も進化した段階とされ、自律性や自己管理、目的志向といった特徴を持っています。

ティール組織の特徴とメリット

ティール組織は、従来の階層型組織とは異なり、自己管理型のチームを基本単位としています。各チームが自律的に意思決定を行い、共通の目的に向かって協力し合います。これにより、柔軟で迅速な対応が可能となり、イノベーションが促進されます。また、職員一人ひとりの自主性や創造性が尊重されるため、働きがいが向上し、離職率の低下にもつながります。

ティール組織のデメリット

ティール組織のデメリットとして、まず指摘されるのは自律性の要求が高く、全てのメンバーが自己管理能力を備えている必要がある点です。これにより、適応が難しいメンバーにとっては負担が大きくなり、ストレスや混乱を招く可能性があります。また、意思決定のプロセスがフラットであるため、迅速な意思決定が難しくなる場合があります。さらに、組織の目的や価値観が共有されていない場合、方向性の不一致が生じやすく、統一感を保つのが難しくなることもデメリットです。

介護現場においてティール組織はあり得るのか?

結論から言うと、ほぼ無理と言って差し支えないでしょう。

なぜなら、そもそも介護保険サービスにおいて必要な資格者の人数が厚生労働省によって決められているからです。

また、それぞれの専門職がいることから、必然的に業種別の業務が生まれます。(たとえば、介護士が看護師の専門業務を行うことはできない)

法律や制度による業務内容の縛りが、ティール型組織を阻害するのです。(もちろん、そもそもの能力面の問題もあるかもしれませんが)

もし、実現させたいのであれば、全社員が専門資格を多数持ち、高次元で各専門領域を理解し、ビジネスへの意識も高い状況を作るのが良いでしょう。

よって、介護保険サービスにおけるティール組織は非常に困難であり、オレンジ組織が最も形として的確と考えられる環境であることを理解しておくとよいでしょう。

オレンジ組織とは?

ほとんどの介護現場において「役職」があり、上司と部下の関係があるのではないでしょうか。

たとえば「所長」がいて「副所長」がいる。各職種に「主任」がいる。といったように組織が作られていることが多いでしょう。

このようなピラミッド型の組織がオレンジ組織です。

オレンジ組織の特徴

フレデリック・ラルー氏の著書『Reinventing Organizations』によると、オレンジ組織は目標達成や結果重視の組織形態です。階層構造を持ち、明確な指揮系統と役割分担が特徴です。競争と業績評価が強調され、個人の成果や成長が組織の成功に直結します。

オレンジ組織のメリットと課題

オレンジ組織のメリットは、明確な目標設定と成果評価が行いやすく、効率的な業務遂行が可能である点です。業績評価が明確であるため、社員一人ひとりが自己成長を実感しやすくなります。しかし、競争が過度になると、チームワークが損なわれるリスクもあります。

介護現場の職員が知っておくべきポイント

組織で働く場合、あなたは組織人です。組織について理解をしておく必要があるでしょう。

オレンジ組織での働き方

介護職員がオレンジ組織について理解する際に重要なのは、目標達成意識と効率的な業務遂行です。各自が自分の役割を認識し、チーム全体の目標に向かって協力することが求められます。競争心を持ちながらも、チームワークを重視し、利用者に最適なケアを提供する姿勢が重要です。

組織図を活用したマネジメントの方法

組織図を活用することで、業務の見える化が実現します。これにより、各職員の役割や責任が明確になり、業務の進行状況を把握しやすくなります。また、定期的に組織図を見直すことで、組織の柔軟性を保ち、変化に対応しやすい体制を築けます。

組織図を使ったコミュニケーションの向上

組織図を使うことで、職員間のコミュニケーションが円滑になります。例えば、新しい職員が入った際に、組織図を基に紹介することで、誰がどの役割を担当しているかを迅速に理解できます。また、定期的なミーティングで組織図を参照することで、情報共有がスムーズになり、協力体制が強化されます。

組織図を理解しないで働くとどうなる?

自らの組織図におけるピラミッドの位置を理解せずに働くと「事故」が起きます。なぜかというと、それは組織におけるルールだからです。ルールを守らないとトラブルが生じます。

たとえば、交通ルールを考えてみましょう。赤信号で止まるルールを全員が理解しているから、事故が防げているのが日本の現状です。

ルールを守らなければ事故が起きて当然。組織内でもさまざまなトラブルが生じるでしょう。具体的に介護業務で考えると、以下のようなケースが考えられます。

  • 緊急性のない環境で無資格無研修で吸引をする
  • ケアプランを無視して利用者のケアを勝手に変更する
  • 他専門領域に口出しして人間関係トラブルを生じさせる
  • 個人の判断で知らぬ間に入退所が行われる
  • 身体拘束が平然と行われる

上記の例は「法的なルール」「組織内のルール」のどちらも記載されていますが、どちらにせよ、ルールを守らなければ問題が生じることは間違いありません。

ルールが決められておらずトラブルが起きている場合、それはルールを決める側の問題であるため、決定権を持つ者の責任でもあります。

しかし、ピラミッド型の組織図のあるオレンジ組織で働いているのであれば「自分の立ち位置と裁量」について、意識して行動するようにしましょう。

トラブルメーカーが大勢いれば、当然ながら良い環境は作れません。

ティール組織以外の新しい組織モデル

最近注目されている新しい組織モデルには、ホラクラシーやアジャイル組織があります。ホラクラシーは、役職や階層を廃止し、役割に基づいた自己管理型の構造を取ります。アジャイル組織は、柔軟で迅速な対応を重視し、プロジェクトごとにチームを編成して運営します。

これらの組織の形成についても、介護サービスの場合はかなり難しいでしょう。

まとめ

組織図の基本からティール組織・オレンジ組織の概要まで、介護現場における組織運営について解説しました。ピラミッド型の組織図がある環境で働いているのであれば、オレンジ組織について理解して働くようにしましょう。自分や役職者の役割と責任を理解し、適切な組織運営に関われるように努めましょう。

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